医療情報技師とは?
医療情報技師は日本医療情報学会 医療情報技師育成部会が認定している、民間資格です。電子カルテやPACSなどの医療情報を扱う専門的人材を育成することを目的として検定試験が開始されました。
具体的には、電子カルテのメンテナンスを行っているシステムエンジニアを中心に取得されている資格です。その他の分野の情報エンジニアと異なる点として、扱っている情報が極めて機密性の高い個人情報であること、様々なマルチメディアデータを扱うこと、そしてその運用に関しては種々の法律が絡んでいることが挙げられます。
試験日程と出題範囲
私は2019年度の試験を受験したため、その情報を基にします。実際の試験の情報は必ず上記公式サイトを参考にしてください。
試験日程
2019年度は、2019年8月25日(日)に試験が行われました。
出題範囲
科目は、「情報処理技術」「医学・医療」「医療情報システム」の3つに分かれています。 「情報処理技術」から50問、「医学・医療」から50問、「医療情報システム」から60問出題され、全て解答はマークシート式で記述問題はありません。それぞれの分野で合格最低点が決められており、すべての分野で合格すると、医療情報技師に認定されます。不合格分野があった場合は、合格科目は2年間有効です。翌年とその翌年はその科目を受けずに不合格科目のみ受験すればOKです。
出題範囲は、「医療情報 医学・医療編」、「医療情報 情報処理技術編」、「医療情報 医療情報システム編」の書籍から、ということになっていますが、適宜常識の範囲内で載っていないことも出題されるとのことです。
出題傾向の分析
医療系専門職として働いていて、医療情報システムのマネジメントには全く関わっていない、ちょっとコンピュータが好きな人が受験することを前提として、下記内容をご覧ください。
この試験は、自分の専門分野が何であるかで対策が必要な分野が全く変わってきます。大学時代に情報系の勉強をしていた方や、現在情報系のエンジニアとして働いている方なら「情報処理技術」は難なく解けると思います。一方で医療系専門職の場合はコンピュータに関する基礎的な知識を持っていない場合が多く、専門用語も多いため対策が必要です。
「医学・医療」分野は、医療系の専門職(医師・パラメディカル)であれば基本的にそれほど難しくありません。公衆衛生の分野や統計学、法律に関する分野は馴染みがなければ再度確認が必要な程度です。実際に問われている医学・医療知識はそれほどレベルの高いものではありません。ただし、現場で勤務したことがない方には、イメージがつかず得点に結びつかないかもしれません。また医学は広く勉強しようとしても範囲が非常に広くなってしまうため、完璧に対策するのは難しい印象でした。
「医療情報システム」分野は、実際に開発・管理に携わっている方にはイメージしやすいのかもしれませんが、単なる情報処理の専門知識や医学の専門知識では太刀打ちできない分野です。実際に電子カルテとそれに付随する予約システムやPACS、情報の保存形式に関する知識が必要です。また電子カルテを電子カルテとして成立させるための法令や、電子カルテを使用するにあたってのリテラシーに関する出題もあります。
実際に何をやったか
上記のような出題範囲と傾向があるため、人によって対策をしっかりする分野が分かれてきます。勉強にあたっては、3分野の解説書それぞれを購入するという手もありますが、そこまではやりきれそうに無かったため、下記「サブノート」を購入しました。
それぞれの分野について、薄く広くまとまっています。対策期間
他の試験との兼ね合いで、本腰を入れて勉強できたのは3週間程度でした。
過去問を解いてみる
まずは、何はともあれ過去問を解いてみて、どの分野の対策が必要であるかを明確にする必要がありました。
上記過去問はマストです。5年分の過去問が掲載されているので、早速解いてみましょう。おおよその予想通り、「医学・医療」は概ね合格ラインを超えることが出来ます。「情報処理技術」に関してもある程度得点できますが、ネットワークに関する話など、普段あまり意識していない所は詳しく出題されると解けません。「医療情報システム」は全然わかりませんw
サブノートと過去問の解説で勉強
「情報処理技術」は、サブノートで自分の解けなかった問題について記述されている所を読み込むことにしました。似たような問題が手を返え品を変え出題されているため、読み込んで次の年の過去問を解くと、意外といけます。
「医学・医療」は公衆衛生や法律関係のみ読み直す程度でした。
「医療情報システム」は一番苦労しました。サブノートを通読しようとしても全然頭に入らず、かといって出題範囲が広いため間違えたところだけ覚えても意味がありません。過去問5年分を先に全部解いて、出題されているところをサブノートでチェックしながら、過去問をもう一度解いて理解し直すという流れで勉強しました。情報の保存形式に関しては略称が多すぎて正直諦めかけました…。
試験本番
試験日はめちゃくちゃ暑かったです。
上記対策の通り、若干手を変えて出題される過去問ベースの問題も多いですが、やはり新作問題も混ざっているため、そこは本番の対応力と運でしょうか。早く解答が終わった場合には、科目毎に途中退室することが出来ました。例年よりもやや問題が易しい印象を持ったため、解けていても最低点が上がると大丈夫だろうか…と不安になります。
合格発表
無事に合格出来ました。
合格すると、認定証と合格バッジがもらえます。
ちなみに、ここで情報処理技術について勉強したのを良いことに、情報処理の試験を受けてみたくなり、すぐに受験できるITパスポートを受験しました。それについては、また時間があるときに別記事でまとめます。
受験を考えている方、勉強中の方へ
出題範囲がかなり広いため、完璧を目指すと不安がどんどん増大する試験です。科目毎に合格・不合格が決まるため、自分の得意・不得意分野を早めに見極めてから対策を始めたほうが良さそうです。
何か質問などあれば、Twitterに投げていただければ、お答えできそうなことは答えます。